こんにちは、編集者のはやのん(@hayanon880)です。
今回は出版記念イベントについて、自分の考えていることをまとめてみました。
出版記念イベントとは
出版記念イベントとは、ビジネス書などの出版を記念し、セミナールームなどに人を集め、その本の著者が著作の内容について語るイベントをいいます。
開催が出版社主催である場合は参加費無料であることもあります。
主催が著者側または著者の所属する会社であった場合は、2000円など少額の参加費を取るケースもあります。
本の出版記念イベントと言っても、本の説明をしたり本を販売するだけではつまらないので、実際の内容について、著者以外のゲストを招いて喋ったり対談したり、といったイベント的要素も加味して、本をできるだけ知ってもらうということが基本的な内容になります。
本を何冊か出していくと出版記念イベントをやり慣れてくる人が出てきて、本を出すたびに出版記念イベントをやって人脈を作り直しているという人もたくさんいると思います。
いっぽう、出版記念イベントを企画する場合、初めての著作だとなかなか内容をイメージできない場合があります。
まずは、こうしたよくある出版記念イベントについて、見落としがちな欠点をお話します。
出版記念イベントの欠点
1回イベントをやって終わり、だとインパクトが少ない?
出版記念イベントは素晴らしいのですが、本を出すのに半年から1年かかることを踏まえると、効率がいいとはいいがたいです。
出版記念イベントは出版にかかる時間に対してどうしても一回または2回程度で終わってしまうため、回数が稼げないという面があります。
イベントを一回考えるだけで結構エネルギーがかかる割に、出版記念イベントという特性上、なかなか継続しにくいという点が否めません。
1回のイベントで何人集められるかわかりませんが、数十人程度集めたところで得られる成果は限られています。
プロダクトアウト型出版だと、人がついてこない?
また、ビジネス書の出版にありがちなんですけれども、「自分たちがこんな本を作ったから出します。買ってください」となりがちです。
いわば出版行為自体が、マーケティング英語で言うとプロダクトアウト型になっていることがほとんどなのですね。
つまり世の中の人が欲しいから作ったわけじゃなくて、自分達が作ったから出した、出したから買ってくださいという形なんです。
これは受け手からすると、「求めていないところに突然やって来る」わけです。
急にでたもんだから、準備もできておらず、「あ、出たんだ・・・」となって見過ごされてしまう可能性が高いというわけです。
もちろん、本業で注目されてる人が本を出せば、ある程度は売れます。
しかし、ビジネス書の場合なかなかそういった「いつ出しても売れる」著者は実際少ないもの。
普通の著者が、書きたいから書いた場合、読み手のニーズなどが無視されており、最悪誰も買わないということが起きてしまいます。
本の出版自体が”独りよがり”で終わってしまう可能性があるのです。
さらに、その誰も求めていないところに出版記念イベントまでおこなうと、最悪の場合、「イベントに誰も来ない」ということが起こるんです。
嘘みたいな話と思うかもしれませんが、僕は実際に誰もこない出版セミナーを何度も目の当たりにしたことがあるので、かなり慎重になるべきだと思います。
それを防ぐためには出版をしようと思った段階で準備をしていく必要があると思います。
出版物に、人を巻き込める余地をつくる
ここで、出版物というものを考えてみると、出版物はたくさんの人が関わってできるもんだと思うんですよね。
もちろん書くのは著者一人だけなんですけれども、実際にはいろんなビジネス経験とか人生経験を踏まえ、それまでの関わった人とか一緒に仕事をしてきたパートナーの話が必ず入ってくると思うんですよ。
すると必ず関わった人たちに対して、本を作ろうと思った段階でアイデアを話せる余地があると思うんですね。
また、本には直接登場しないけれども、出版をすることで何かしらメリットがある団体や会社の人達に対して、「本を作るので、一緒に盛り上げていきませんか?」と提案することが必要になってきます。
本を出すことは、単に書店に本を並べるだけじゃなくて、
②自分の活動を広めていく
といった社会的な行動であるはずです。
こういった社会的アクションに対してメリットがある人、または一緒に活動して学びを得たい人に対して、一緒に出版を盛り上げていきませんかと提案する。それが必要なことだと思います。
そこで一つ選択肢に入れてほしいのが、出版後ではなく、出版「前」におこなう、出版キックオフイベントです。
出版キックオフイベントで用意すべき内容
出版キックオフイベントではどんなことを考えればよいでしょうか。
たとえば、
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・なぜ本を出すのか(本を出した先にある目的)
・どんな部分が足りていないのか(製作力、資金、PRなど)
・出版プロジェクトに関わることでどうなれるのか
・制作力や資金・PR手法
などを伝えることが必要になってきます。
また手伝いをしてくれるサポーターに対しても、出版プロジェクトに関わることで何が得られるのかといったメリットを詳しく説明することが大事だと思います。
イベントの様子は全て記録し、写真や動画またイベントレポートといった形でインターネット上に発信するべきですし、プロジェクト出版の計画が進んでいくにしたがって、関わってくれた人たちに少しずつ近況報告をしていく。
「出版までのあらゆる活動をネタにする」というところが必要になってくると思います。
受けて側も、出版記念イベントに関わってないとただ本が出て、「ああ、出したんですか」ぐらいで終わるんですが、キックオフイベントをすることで本が何倍も本が「愛おしい」ものなりますし、自分が関わったという感覚が生きることで、PRに協力してくれるかもしれません。
SNSに、熱量をもってコメントしたり、シェアしてくれるとさらにいいですよね。
こういった意味で出版記念イベントよりも出版構想キックオフイベントをひとまず考えるべきだと思います。
出版キックオフイベントと相性が良い本の例
具体的に出版キックオフイベントと相性が良い本の例として、
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・地域創生本
・働き方・副業本
・士業
などがあると思います。
例えば地域創生本であれば地域の魅力を発信する、そのために地域のいろんな面白い職人さんや農家を取材すると関わる人たちが増えてきて、自分が本に載るから何か協力できないか知り合いに紹介できないかといった考え方が生まれてくるわけです。
こうした、「人を巻き込みやすい出版物」の場合、ぜひ出版キックオフイベントを考えてみてほしいと思います。
ただ本を出すだけではなく、一つの大きな計画のなかに本を置くことが大切
本がまだアイデア段階で原稿も一つもできていない段階で、関わりそうな可能性が少しでもある人たちを集めて自分が出版を通じて成し遂げたいことをとうとうと語る、その上で出版プロジェクトに何かしらの形で関わってほしいというメッセージを伝える、そういった出版キックオフイベントが有効になってくると思います。
その場合大事なのは本を出すことが目的ではなく、本を出した先に何があるか、それを言葉を尽くして伝えることが本当の目的なのだと思います。
ただ本を出すだけではなく一つの大きな社会的プロジェクトの中に本を置く。社会的活動の一環として出版を位置づける。それが大事です。