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自己啓発本と聞くと、誤解というか、悪いイメージを持っている人が少なくないと思います。
自己啓発セミナーという言葉に惑わされている、というか。

たとえば、自己啓発セミナーだと入会金30万円とかで、参加者をなかば騙すようなものもありますから、その意味で自己啓発は危ない、というイメージを持つのは自然なことだと思うんです。

仕事として自己啓発書を作っている身として思うのは、自己啓発のなかにも良いものと悪いものが存在していて、その見分け方がわかれば、自分にとってプラスになるものを選び取れるよ、ということです。

今回は自己啓発本の分類をもとに、読み方を解説していきます。

ビジネス書の3分類

ビジネス書と呼ばれるものと自己啓発書との兼ね合いを僕なりに整理するならば、ビジネス書の3種類のなかに自己啓発書が含まれている位置付けになります。

ビジネス書は

①自己啓発書

②経営書

③経済書

に分けられます。
これは僕なりの分類ではあるんですが、ほとんどのビジネス書はこの3つのどれかに当てはまります。

簡単にいうと、「自分自身についてのスキルを上げて行動を変えて成果をあげるもの」を自己啓発書とするならば、「チームや会社組織全体についてノウハウを学び、実践するもの」を経営書だとしています。
自分のことだけなのか、他者のことも含むのかで自己啓発書か経営書かが分かれる、ということですね。

なお、③の「経済書」は特定の会社や組織についての話ではなく、日本の経済情勢とか特定の業界のことについて語ったものになります。たいていは時事的なニュースとセットで分析が語られますし、経済学者の主観的なものが多いです。

このうち、自己啓発書についてはさらに細かく分けることができるでしょう。
自己啓発書をいろんな言い方で呼ぶことがありますが、たとえばビジネス・自己啓発、ノウハウ本などの呼び方がされます。

書店ごとに細かい分類も変わってくる

さらに書店にいくと、同じ自己啓発書でもテーマごとに実に細かく分類されています。

「生き方」「仕事術」「整理術」などです。ジュンク堂書店に行くと棚が緑色のプラスチックパネルで区切られているのですが、あれが最も細かい分類になるのではないでしょうか。

書店ごとに細かい分類も変わってくるので、ジュンク堂の分類が絶対に正しいわけではありませんが、本を企画して作っている側からすると妥当な分類がなされていることが多いです。たとえば市内の図書館よりも内容を正確に理解しているな、という印象がありますね。(図書館は内容ではなくタイトルで分けているイメージがあります)

自己啓発書を内容で分類してみる

さて、ここからは、自己啓発書の分類項目についてまとめていきます。

・客観的ノウハウを伝えるものか、主観的な考え方を伝えるものか
・その人自身の体験ノウハウとして語っているのか、一般化した試みがなされているのか
・時間をたっても有効なものなのか、現時点でもっとも有効なものなのか

それぞれ解説していきます。

客観的ノウハウを伝えるものか、主観的な考え方を伝えるものか

自己啓発書の分類がうまくいかないのは、この客観的か主観的なものかの区別がついていないことに主な原因があります。

たとえば、「トイレを掃除すれば年収が上がる」というものと、「このフレームワークによってマーケティングの整理ができる」という内容では、同じビジネス自己啓発のジャンルでも大きく異なります。

いわば、「こういういいことをすれば幸せが訪れるかもしれない」というものと「世の中にはこういうツールやノウハウがあり、あなたも使うことができます」というものの違いです。
前者が主観的な内容で、後者が客観的な内容です。

自己啓発というとどちらかといえば「トイレを掃除すれば年収が上がる」「ありがとうと言い続ければ成功する」など、科学的因果関係が不明瞭なものをイメージされることが多いです。いわば「成功哲学」の分類に入るもので、自己啓発セミナーの多くもこちらに位置します。「自己啓発っていう言葉を聞くと、狭いセミナールームで洗脳されてそう」と感じるのはこちらのイメージですね。
いわば、信じるかどうかは読者次第、といったところでしょうか。

一方客観的なものでいえば、「こういうものがある」「これこれで成功した人の多くはこれを実践していた」「人間は生命科学的にこういう性質があるから、ここを気をつけると生産性が上がる」といったものを指します。
たとえば、「ビジネスモデルを整理するためには、ビジネスモデルジェネレーションを使うと効果的だ」「ITビジネスで起業した多くの人が、20代前半でプログラミングの基礎を身につけていた」「人間の集中力は朝に高まり午後に低下するから、朝に生産的な作業をしたほうがよい」といった内容になります。

こちらは、実践するかどうかは読者次第、といったところでしょう。

その人自身の体験ノウハウとして語っているのか、一般化した試みがなされているのか

続いては、書かれているノウハウや体験談がその人自身の体験ノウハウとして語っているのか、一般化した試みがなされているのかという点も区別しましょう。

編集者が見出しをつけて、個人のいち体験談を一般化している場合があるので見極めが難しいのですが、本文を見てみると

「僕はこのとき〜した」
「僕ならこのとき〜したことだろう」

など、主語が著者の一人称で自身の経験を語っているものならば、その人自身の体験談として語っています。個人的な過去のヒストリーですね。

一方、「若手ビジネスマンが知っておきたい仕事のコツ」のように、著者自身の経験の中から一般化できそうな事例をあつめて見出しに「〜なときは、〜が大事。」のように一般化された言葉(大見出し)がつけられている場合は、一般化された試みがなされていると言えます。

時間がたっても説得力があるものなのか、そうではないのか

こちらは経営者が書いた、経営書ではない自己啓発本の場合にチェックすべき点です。

企業の社長として、これまで仕事を成功させてきたノウハウをもとにしながらも、自社の話としてではなく世間一般に通じる法則やルールとしての一般化が試みられている場合に、「企業がうまくいっているから言えるのであって、もし業績が悪ければまったく説得力がないもの」があります。

「私は自分の会社で、従来の常識とは異なり、〜〜制度を採用し・・・」

「僕が大切にしている仕事のルールは、〜〜をしないこと。なぜなら・・・」といったかたちの文章が並びます。

これは企業の名が知れわたり、今をときめく会社として認知されている間は有効なのですが、ちょっとしたことで業績が傾き始め、数年後に業績が平凡なものになってしまうと、とたんに説得力がなくなります。

近年はITベンチャーがニュースを賑わし、知名度が高まってくるとすぐに出版のオファーがありますから、ある程度実績を経たベンチャー社長が「仕事のルール」などのタイトルで出版することが増えました。経営ノウハウと自己啓発の内容を半々ずついれたようなものです。

こうしたITベンチャーは勃興が早い分、次のプレイヤーと入れ替わるのも非常に早いため、昨年出した本がはやくも説得力を失うケースもあります。
「赤字のくせに何言ってるんだ」という指摘を受けるわけですね。

このように、時間が経って少し状況が変わっただけで説得力がなくなる本は、あまりビジネス書として価値があるとは思いません。
若手社長の経営哲学はあまり読む必要はないということです。

主観的な成功哲学と客観的なノウハウ提示はまったく別物

以上、一口に自己啓発書といってもさまざまな著者がさまざまな様相で書いたものがあることがわかりました。

特に主観的な成功哲学と客観的なノウハウ提示はまったく別物ですし、厳密に区別するべき必要があります。
心の弱い人たちが集まると成功哲学に群がってしまい、主流派になってしまうことも起こります。しかし、このブログの読者にはそうしたことがないよう、ビジネス書を見極め、客観的な知見や方法論を身につけて実践していってほしいと思います。

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Ryuki Hayano

早野 龍輝 (Hayano Ryuki→はやのん)編集者&メディアディレクター。 2012年、新卒から書籍編集者となり、ビジネス書づくりをスタート。自己啓発や経営書を中心に、自分と同世代の読...

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