本を読むとき、「新書」と「単行本」という判型があります。
その二つの違いについて知っておいてほしいと思います。
これらは、単にサイズが違うだけではなくその制作工程や意図する結果が違っています。
新書とは
新書とは現在ではサイズ 173×105mmで、ページ数がだいたい100ページ台のものをさします。
書店にいけば新書コーナーが広く展開されていますから、必ず目にすることがあると思います。
新書ができた経緯
元々新書というものは、岩波新書や中公新書のように、学者の難しい理論や学問体系を一般読者にできるだけ分かりやすく説明するためのものでした。
そこから光文社のカッパブックスなど、一般向けに砕けた内容でより読みやすくエンターテインメント性を重視したものが生まれるようになりました。
さらに2000年代に入ってからは「新書ブーム」というものが巻き起こりました。
それまで出版社の中でも新書を出していなかった出版社がこぞって新書を立ち上げ、ビジネス読み物のラインナップが拡充されました。
こうして、単行本よりも安く制作できるため文庫本のようなイメージで買っていただけるような市場ができあがりました。
新幹線や駅の売店で新書がたくさん売られるようになったのもこの頃からではないでしょうか。
新書の現在の主流派は時事テーマの解説
さて現代の新書というものは、誰かの課題を解決するための基本的な方法論を授けるというよりは、いま流行っているものや世間の関心があるものに対し、専門家ができるだけ分かりやすく解説するというものが一般的です。
新書は、タイムリーな話題を出すために制作期間や制作方法もできるだけコンパクトにまとめられています。
現在の新書の読者の中心層とされているのは、40代や50代の中年、それも男性がメイン。
そのため、政治や経済、また会社でのマネジメントや企業紹介など、中年男性が最も関心がある時事テーマが新書のタイトルになることが多いです。
新書は制作期間が短い
たとえばニュースで話題になり始めてからすぐ専門家を探し、原稿を依頼し、できるだけ短い期間で取材を完了します。
こうすることで2ヶ月3ヶ月といった驚くべきスピードで世の中に本を届けることができます。
本の執筆といっても、世の中で出回っているニュースについて解説をするスタイルですから、半分以上は引用であったり調査結果のまとめであったりします。
自分でいちから書いているわけではないぶん、その執筆スピードもうなずけます。
新書は文字数もページ数も少ないものです。
また執筆する著者からしても短期間で安い印税で書かなければなりません。
実用書に比べて少し分量が控えめになって説明が不足してしまうこともあるかもしれません。
こうした理由から、新書には実用書と同じものを求めるべきではありません。
新入社員の基礎は新書ではなく実用書で
実用書は新書と比べると単価がおよそ2倍で制作期間も短くて半年、長ければ1年2年ということもあります。
新書と比べてページのサイズが大きいため図を乗せて説明することが容易です。
また単価が高く制作期間が長いことから、新書に比べて内容を詰め込みやすい、充実させやすいというのが特徴ではないでしょうか。
もしあなたがあるテーマについてとにかく基礎的な情報を知りたい、そしてその学びを深めていきたいと思ったら、新書と実用書の違いを教を知りながら、知識の段階に適した本を探して欲しいです。
新書と実用書の使い分け
例えば最近テレビを騒がせているようなニュースについて知りたいと思ったら、すぐに書店に行って、できるだけ新しい新書で何かそのテーマについて出ているものないかを探すべきです。
仮想通貨や人工知能など、進化のスピードが早くまたニュースにもなりやすいものは、新書としてテーマにしやすく、書店の新書コーナーに新刊が出ている可能性が高いです。
逆にそれほど最新の情報というよりは、昔からある基礎的な内容、ビジネスの基礎的な知識として身につけておきたいと言った場合は、新書コーナーで探すことはせず、 最初に実用書コーナーに向かいましょう。
若手は先に実用書で基礎を身につけよう
特に若手ビジネスパーソンの場合は、 あまり最先端のニュースについて断片的な知識を揃えていたとしても役立つとは思えせん。
もちろん、経済ニュース番組などで最先端の情報をなんとなく知っておくべきではあります。
しかし若手ビジネスパーソンのうちは最先端のニュースに詳しくなるよりももっと先に先にやるべき基礎づくりがあります。
もちろん金融業界テクノロジー業界、IT業界に入るなど最先端情報しておかなければそのその話についていけないという場合には勉強しなければいけません。
しかしそれ以外の場合は、あまり最先端ニュースを知ることに汲々とせず、ビジネスパーソンの基礎体力をつけることに専念しましょう。
最も良くないのは、新入社員のうちから基本的な読書をせず、テレビのニュースで扱われているような話題にばかり詳しくなっているケースです。
ビジネスマンとしての基礎がない場合、いくらテレビのニュースの一次情報を詰め込んだとしても身につきません。
若手ビジネスパーソンの基礎的な知識は実用書で得るほうが望ましいです。
最新のニュースにあせってとびついても、後から振り返ったらあまり残っていませんから。
実用書コーナー定番の書籍で、営業や書類のつくりかた、話し方やビジネスマナーなど基礎的なところをまず徹底的に身につけましょう。