目標達成とは
目標達成とは、目標を立てて、その達成のために行動を変えることです。
適切な目標を決めることで、仕事の仕方や時間の使い方、関係先や社内の人間との調整、ミスの撲滅など、行動の全てが変わってきます。
目標設定においては、無理せず楽せず、具体的な数値であらわすこと、一定期間で振り返りができることが大切です。
目標の立て方と達成の仕方には技術がある
数字で表記する
自分にとってちょうどいい目標を数字で表すことで、自分の仕事の成長具合を数字で実感することができます。
もちろん「がんばる」のような気持ちの問題は大事ですが、会社で目標を達成する場合は数字や量など、他の人が見てもわかるものを目標としておくことが必要です。数字にしておくことで、ほかの人と会話がしやすくなり、指摘をもらいやすくなるからです。
「営業をがんばる」ではなく、「毎日10件のアポを申し込んで、3件のアポをとりつけて、1件を契約成立させる」など、数字で具体的に表現することで、適切な目標になります。
すると、達成できないときも「どこが達成できていないのか、申し込み数なのか、アポを取り付ける数なのか」など、ピンポイントで原因がわかってきます。
またそれを見た上司からも「毎日10件のアポを申し込むためには、こういう準備が必要だよ」「3件のアポで1件の成約は見立てが甘すぎるから、5件のアポで1件の成約に変えて再度設定したほうがいい」などのアドバイスをもらえるようになります。
一定期間で振り返る
一定期間で振り返ることが目標設定のコツです。
たとえば仕事のために語学習得をがんばる、といって毎日英単語帳を眺めていても、どれくらい英語が身についたのかはわかりません。
そのため、たとえば1週間ごとに英単語帳を10ページずつ区切って、1週間終わるごとにテストをして満点がとれるようにすることが有効です。
区切りのタイミングは1日、1週間、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年などになるでしょうが、あまり短すぎても長すぎてもいけませんから、1週間で振り返れる目標を立ててみましょう。
目標を適切に設定できないと、成長できない
低すぎる目標
「確実に達成できる目標にしよう」として、安全すぎる目標を立てるのはよくありません。
目標設定が低すぎると、達成こそできますが、発見と成長が生まれないからです。
それまで特にがんばらなくても達成できていた数字だけを達成しようとすると、削るべき無駄や工夫すべき作業フローなどを発見することもできず、自分が成長するチャンスを捨てていることになります。
若手社会人のうちは、目標達成そのものが目的というわけではなく、適切な目標の設定の仕方を学び、自分が常にちょっとだけ成長しつづけられるラインをキープすることが真の目的です。
そのため、これまでだったら難なくクリアできたけど、これからの自分のためにちょっとだけその難易度をあげる設定が必要になります。
高すぎる目標もNG
ここで注意すべきは、高すぎる目標もNGということです。若手社員でやる気に溢れている時には、ついつい自分の実力の何倍もの目標を設定しがちです。上司からも「期待されているぞ」と言われるかもしれません。しかし高すぎる目標を達成しようとして無理を続けると、仕事や身体が破綻します。
たとえば、「営業をとりまくるぞ!目標は前月比200パーセントだ!」と目標を立て、毎週営業で新規顧客との契約を成約させようとして、アポ入れを何倍にもして、朝早くから夜遅くまでアポと資料づくりをしはじめたとします。
最初の気持ちとは裏腹に、無理すぎる目標は気持ちがついていかず、「今日は無理かも」「明日からまたがんばろう」といったかたちですぐに続かなくなります。
高すぎる目標を設定しようとして身体の休む暇もなく働き続けると倒れてしまいますし、上をみすぎるあまりひとつひとつの仕事の細部がおろそかになれば、仕事でトラブルを生んでしまって損害につながるかもしれません。
人間の集中力やモチベーション、体の調子などさまざまな変動要因を考えると、100パーセントマックスで調子がいい時の自分を想定して目標を立てるのではうまくいきません。
「80パーセントで、ほどほど元気くらいの自分が、気合いをちょっと入れ続けるくらいで達成できる目標」、それこそがベストでしょう。
隠れた目標もできるだけ記述する
僕自身も出版社の会社員時代には毎週1本の企画書(A4で4〜6枚程度)に加え、本のアイデアを5本以上出すように設定していました。
ここで目標を「毎週本のアイデアを5本だし、企画書を1本仕上げる」にしていたのですが、実はこの目標設定は少し不十分でした。
なぜなら、「企画を考える」のようにゼロから物事を生み出す場合には、その準備として必要な工程が存在するからです。
たとえば本の企画を考える場合には、世の中のニュースを見て、トピックを整理して、売れている雑誌や本を読んで、本の売り上げデータをチェックしてなど下調べがかなり必要になります。多くの下調べをしたうえでようやく企画の種を生み出すことができるのです。
そのため、「毎週本のアイデアを5本だし、企画書を1本仕上げる」の前段階の作業についても、たとえば「毎日1時間はニュースチェックと新刊チェック、毎週2時間は本の売り上げ分析をおこなってから、アイデアを5本出し、企画書を1本仕上げる」のように、すべての工程を目標に組み込まないといけなかったのですね。
目標達成のコツがわかる本
ではここからは目標達成のコツがわかる本を紹介していきます。
いつも目標達成できない人のための自分を動かす技術
目標達成のための最初のステップになる本です。実際、目標達成というと体育会系の営業マンが自社のパワープレイを紹介した本が多く、ビジネス書として良い本があまりないのが実情なのですが、そのなかで本書は比較的まともな内容を授けてくれます。
タイトルが「いつも目標達成できない人」となっているのがユニークですし、そのぶん内容が実用的です。
目標を達成するために必要なのは強い気持ちではなく、妥当な目標を無理ない行動で少しずつ実行していくことだという考え方を伝えてくれます。
特に面白いのが、PDCAに関する部分で、慣れていないうちは「Pから始めるな」というお話。行動経験がないまま目標を最初に立てるとうまくいかないためです。
代わりに本書で提唱するのが、「Dから始める」、つまり具体的なアクションを先にやってからはじめて計画を考えてみるというアプローチです。
非常に具体的で本書全体を通して無理なく実行できる内容が並んでいるので、入門としては適しているといえます。