学生のときにやっておきたい読書とは?〜哲学・統計学・心理学

インプット

学生の時にしておきたい読書についてお話します。

学生の時はたくさん時間がありますから、「できるだけ学生のうちに本読んでおきましょう」ということを言われると思うのですね。

図書館や生協にたくさんの本が置いてありますし、生協に「学生におすすめの図書」という名前で推薦図書もあるでしょう。
外山滋比古の『思考の整理学』など往年のベストセラーも目にすることと思います。

そういった一般向けの読み物もいいのですが、ライトなものを読むというよりは、もう少し骨太なものを選んでおきたいものです。
学生のうちには、後々社会人になってからも読書のマップを広げてくれるような、読書の可能性を広げてくれる本を読んでほしいと思います。

僕自身は文系の大学生時代として、学生時代に読んでおいてよかったなと感じているのは、 三つあげるとするならば哲学・統計学・認知心理学です。

哲学

社会人になったら哲学の本をじっくり読む時間はなかなかありませんから、学生時代に読んでおいてほしいと思います。

一回読んでおくと、その後も物事の見方が大きく変わる本というものは存在します。

最初に哲学をあげたのは、哲学が自分のやっていること客観的に見たり離れてみたりするために必要なツールを与えてくれるものだからという理由です。
世の中の情報ばかりに惑わされて、「僕はそもそも何をやっているんだろう」とふと立ち止まって考えるときに、哲学は大きなヒントを与えてくれます。

自分史の高い視点で見ることは、哲学の入門書などを読んでおくことで身につくことができます。

哲学入門は優れた本がたくさんあり、安い値段や中古本、10年以上経ったものでも有効です。
イラストで解説したものや、見開きで一人の解説者を2ページずつ返している本もあります。

哲学書と言うと古代プラトン・アリストテレスから始まるため、最初とっつきにくいイメージがあるかもしれません。
古代からではなく、現在の哲学からはじめてみてもいいかもしれません。

書店の哲学書入門コーナーに行けば、自分の好みに合わせた哲学入門の本を選ぶことができますから、30人ほど哲学者を一覧で紹介したような入門書をいくつかパラパラと立ち読みしてみて自分が一番しっくりくるものを選んで読んでみるだけで構いません。

新書にもすぐれた哲学入門があります。
こちらは日本の大学で哲学を教えている大学教授が大学の授業の内容を基に書いたものが多く、今の時代に向けて必要なテーマを選んでわかりやすい事例をもとに解説しているため、身につきやすいのではないでしょうか。

ライトめな本であっても、学生時代に哲学を学んだかどうかでその後の人生の考え方が大きく変わってきます。
哲学書の基本をおさえておくと、その後の読書の可能性を圧倒的に広げてくれます。
社会人になると哲学書をゆっくり読むと言う時間はまずとれませんから、学生時代にぜひ読んでおいてほしいと思います。

統計学

二つ目は統計学です。

数字やデータの見方というものは意外と勉強しないと騙されてしまうものです。
例えば平均という言葉ひとつとってみても、勉強しているかどうかで騙されるかどうかが決まります

よく言うのが平均年収という言葉。会社員になると平均年収の話題が頻繁に聞かれるようになります。
もちろん世間の関心ごととしては、どの仕事が平均年収が高いか、などということが話題になりますが、統計を勉強していると、そのデータが意味するものまたそのデータは信頼するに値するかどうかということを常に判断するようになります。

特に平均年収や平均身長平均寿命といったものは、平均という言葉の本当の意味を考えなくてはいけません。平均というのはあくまで合計値を参加人数で割ったものですから、実は一人だけ飛び抜けている値があると、実情を正確に表すことができなくなります。

分かりやすく言うならば、会社員が100人いて、みんな年収をほとんど400万円前後だけれど、 一人だけ大金持ちが入って年収が2億円の人が混じっていたとします。すると、
2億*1➕400万円*99= 596000000、100でわると596万円が「平均」となりますが、参加者を見渡してみるとほぼ全員が400万円でも、600万円が平均ということになります。
「だから、世の中の平均は600万円だから、それを前提に話そう」としても、ほとんどが400万円しかいないのですから、実情にあっていない議論がはじまってしまいます。

平均というものの特性を知らないと、こうしたミスが起きてしまうのです。
統計を勉強すると、こうした「一部だけ大きく外れた値(はずれ値)を除いて考えること」の重要性などを学ぶことができます。

はずれ値は一例ですが、他にも統計を学ぶことで、
データは作成者の誰かの意図が反映されていること
データの表現の仕方で与える印象は正反対になることもあるということ
などを学ぶことができます。

社会人になったとき、もし仕事に関係する部分は厳しくデータをチェックする癖をつけられますが、身につける機会がないまま社会人として過ごしていると、一生データに騙され続けて生きていくことになります。

僕自身は大学の必修科目で統計学を学んだことで、最低限の統計の気をつけるべきポイントはわかるようになりました。
学生時代に学んでおいてよかったな、と思います。

統計数字を疑う~なぜ実感とズレるのか?~ (光文社新書)

オススメ本として挙げるならば、こちらの本はかなりよくまとまっています。少し古いですが、内容はいまでも通用します。キンドルアンリミテッドでも出ています。

『統計数字を疑う~なぜ実感とズレるのか?~』 (光文社新書)
門倉 貴史

認知心理学

三つ目は認知心理学です。

これは、人間はいくら賢くても動物であり、生体であるということを学べます。
人間が物事を見て判断する際には、常に刺激に対する反応というかたちで科学的に計測することができます

また、人間は常になんらかの印象やメンタルの状態に左右されて物事の判断を下しています。

「どうして自分はあのとき、あんな下手な判断をしてしまったのだろう」
「いつも忘れ物をしない自分がどうして忘れてしまったのだろう」
「覚えている内容と実際が違っていたのだが、記憶は不確かなのだろうか」

といった生活にまつわる疑問は、認知心理学を学んでいることで解決することができます。

また、ある物事に触れると、それにまつわる関連の話題や言葉が自然と頭の中に想起されており、知らず知らずのうちに影響されてしまう、ということも知っておきましょう。

認知心理学の本では基本的に、過去におこなわれた科学的な対照実験の成果をもとに、人間の知覚判断の基本的な性質を暴いていくというアプローチをとります。

「人間はこんなに影響されやすいのか」ということを知っておくだけで、物事の理由がわかる面白さがあります

心理学というと心理テストのようなものを思い浮かべるかもしれませんが、本来の意味での心理学は認知心理学を学んでおくことで広くカバーすることができます。

ほかにも学習を扱う発達心理学や、集団での人間の行動を扱う社会心理学など隣接する分野もあります。

心理学ごとの細かい違いを知っておくだけでも、その後の学習について見取り図ができて役に立つでしょう。
新書だと下條信輔さんのこちらの2冊がテッパンです。

また集団行動では山岸俊男先生などもよくまとまっています。

以上、僕自身が学生時代に読んでおいてよかった3つの分野を紹介しました。学生時代は忙しいとはいってもやはり時間がありますから、暇をみつけて読んでみてください。

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