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ここ10年のビジネス書の状況を見るにつけ、ビジネス書と読者の、本の読み方や関わり方についての関係が大きく変わってきたと思います。

かつて、本というものは書店で購入したものを自分の中で読み、必要とあれば残しておくというものでした。
それが最近20年でインターネット、SNSが普及したことで、本の出会い方から本の読み方また本を読んだ後の行動の仕方まで、大きく変わってしまったのです。

僕自身は2012年に出版社に入社して、新卒キャリアをスタートさせたという立場です。そのため、ちょうど端境期に出版という世界を見てきたという立場にいます。

また、新卒入社から6年が経ちましたが、この6年間でもまた読書の仕方が大きく変わったと感じています。

出版業界自体は縮小しつつありますが、その反面、ツールやコミュニティの選び方を間違わなければ、良い本に出合いそれを自分のものにすることは容易になりました。

インターネットを上手に使うことで、正しく効率的な読書する人にとっては、より強く成長できる環境が整ったのではないでしょうか。

ここでは、僕が考える「読書とインターネット」の関係について、ビジネス書に限ったお話をしていきます。

◎本を書きたい人、ブログを本にしたい人向けの内容をまとめました↑↑

インターネット以前の読書って

まず従来(インターネット登場以前)的な本の読み方について考えてみましょう。

まずは、本との出会い。
読者であるあなたは日頃生活している中で書店に行ったり、また新聞広告や電車広告など、出版社が出した広告に触れることで出版物の存在を知ります。

書店に立ち寄ると、書店のコーナーに本が置いてあり、 タイトルやキャッチコピーを見たり、内容を一部知りたければ立ち読みしたりして、その本を買うかどうかを決めます。

欲しいと思ったらその場で買って帰るでしょうし、最初立ち読みしただけで「あ、この本は大したことがないな」と思ったら本を閉じて店に戻すでしょう。

買った本は家や喫茶店などで再度読み込み、気になった点があればメモをしたりページに付箋を貼ったりする人もいたでしょう。

インターネットがなかった時は、本の感想自体誰かでシェアするということがまずできなかったので、できることといえば友達に「この本、面白かったから貸すよ」と紹介することくらいでした。

家には大きめの本棚があり、そこに本を置いていきます。スペースがなくなってきたら誰かにあげたり、ゴミ出しの日に捨てたり、街の古書店に売ったりしてスペースを確保します。

インターネット初期の読書って

続いて、1990年代後半にインターネットが登場した初期段階の緑色についてお話ししていきたいと思います。

大きく変わったのは、本との出会い方。

本というものを紹介するまたは本の内容を知るためにインターネットにアクセスすることで、書店に行かなくてもその内容を一部知ることができるようになりました。

また Amazon などネット書店が次々と生まれ、豊富な在庫の中から本を注文し自宅に届けてくれるというサービスができました。
従来の通信販売と比べ、普通の書店に置いてないようなマニアックな本でもアマゾンでは買えることがわかり、利便性が高まりました。

一方それまで知る由がなかった、まったく知らない他人の本の感想、というものをインターネットの掲示板やアマゾンの感想欄で知ることができるようになりました。

実物が確認できないぶん、その本を先に読んだ人の感想というものはありがたいものです。本を買う時に、まずは見ず知らずの購入者の評価を気にするということが生まれました。

また購入した後は、特定の作家や作品について感想を書き込む掲示板(BBS)が有志の手によって生まれ、自分から検索することでそのサイトにたどり着くことができるようになりました。

自分のインターネットへの書き込みがまた次の購入者の判断材料になるというループも生まれるようになりました。

インターネット中期・ブログの誕生

次第に匿名同士で交流し合う掲示板スタイルから特定の個人が自らサイトを立ち上げ、日々読んだ本や感じたことについて定期的に情報を発信するブログというスタイルが見られるようになりました。

文章を書くことや物事を紹介するのに長けている人達が毎日多くのブログを書くようになり、次第にブログを書くために本を読むという逆転現象が見られるようになりました。

内容が面白く、また本の内容を的確にまとめてくれるブログの存在は、忙しい読者とって非常にありがたい存在になりました。

この人のブログサイトをチェックしておけば、有益な情報が得られる」というかたちで、 ブロガーとフォロワーという関係が出来始めました。

次第にブログの発信者は影響力を持つようになり、「このブログに紹介されることで、実際の本の売り上げの上がる」という状況が生まれるようになりました。

ブログを見ることが一般化すると、いくつかのブログで紹介されているような本の信用度が高まり、ブログで見て、感想を確認して、 実物を見ないままAmazonで買う、ということも珍しくなくなりました。

ブログにはアマゾンへのリンクが張られ、もし購入にいたった場合にはブログ運営者に一部のお金が入るアフィリエイトモデルが確立されました。

インターネット現在・SNSの誕生

そして現在は SNS の時代です。

最初に一般的な知名度を獲得したのは mixi と呼ばれるソーシャルネットワーキングサービスでした。続いて、2011年ごろからフェイスブックとツイッターが認知を得るようになってきました。
内向きだったmixiと比べ、外向きで誰でも見られるTwitterやFacebookなどが普及したことで、ブロガーではない個人でも日常的に気軽に発信できるツールが生まれました。

TwitterやFacebookではタイムラインと呼ばれる、投稿が時系列順に上から並ぶ方式がとられ、お互いが投稿者であり、お互いが「いいね!」をつけあうフォロワーであるという設計になっていました。

誰かの投稿をそのまま「シェア」「リツイート」することで、 特定の誰かの投稿が違う人のアカウントにも同様に投稿されるため、一つの投稿がまたたくまに世間をかけめぐる、ということが起こるようになりました。

この状況を見て、本を売る場合には、できるだけインターネット上での露出を増やすために SNS マーケティングという言葉が叫ばれるようになりました。

「SNS上でできるだけ本について話題が増えるようにすれば、必然的に本の売り上げが上がる」ということが経験的にわかるようになりました。

次第に、出版社は従来の広告費の一部をSNSでの露出費用に充てるようになり、SNSの影響力が強い人に費用を払う形で宣伝を依頼することも生まれました。

読者はそれぞれのSNSアカウントを持ち、自らのタイムラインに日々流れてくる情報の中から今流行っていること、今知るべきことを判断するようになりました。

また、本を買ったことや本を読んだこと自体をSNSに投稿し、常に自分の読書状態を共有するようになりました。

SNSのタイムラインに最適化するべく本の内容はできるだけコンパクトに短く感想を書き、タイムライン上で「いいね!」が得られるような投稿方式になりました。
それを見て自分もこの本を買おうとか自分だったら別の感想を持ったということをお互いに書き込むようになりました。
その様子は Amazon やブログにも転載され、それが本の印象をかたちづくるようになりました。

こうして、
ある本についてのSNS上での反応それ自体を”見世物”にし、本の宣伝やマーケティングにつなげる
という方法論が確立されました。

次第に、本を作る場合には、発売後に誰かが感想を書いてもらうのを待っているのではなく、あらかじめ発売前後にSNS露出が増えるように仕掛けをしておくことが必要になりました。
本の発売前に内容を配ったり、期間限定で無料公開することが一般的になりました。

熱狂的な読者というものが、発売前後に露出を増やすことにより、本の印象を決め、「大多数に支持されている本だから、あなたも読んだ方がいいですよ」というメッセージを発信するようになりました。

こうした事前のパブリシティと言われるものが重視されるようになり、有名ブロガーはもちろんのこと、 各SNSにいるインフルエンサーと呼ばれる人々に事前に日本の内容を伝え、発売前後での注目度を高めるという手法が一般化しました。
また、リアルイベントに読者を集めることも容易になりました。

こうして読者は、「本の発売前にすでに誰かがその本の内容について紹介しているかどうか」を重視するようになりました。

言い換えれば「誰もインターネット上でコメントしていない新刊は、疑い深い」というわけです。

一方で実は大した内容はないにも関わらずそしてマーケティング戦略で本の印象を良くすることで、無理やりでも販売してしまうという手法も見受けられるようになりました。
この反動で、あまりに宣伝されすぎている本は逆に怪しいなと感じる人も出てきました。

現代の読者がとるべきスタンス

以上、ストーリー形式で、インターネット以前と登場後の変遷について僕なりにまとめてみました。

現代の読者の態度は、信用できる相手が紹介している本については安心して手に取り、逆に信用できない相手が紹介している本は徹底的に信用しない、というスタンスではないでしょうか。
事前露出するためには当然予算と人員がかかりますが、その予算と人員をさけるのは大手出版社であることが多いです。
しかし良い本を作っているのは大手出版社ばかりではありません。
読者が知っておくべきは、たくさんの人がインターネット上で紹介している音だけが良い本ではないということです。

事前露出をする体力はないけれども、 そのぶん本そのものの質を高めることに集中している人はたくさんいます。
こうした「SNSのタイムラインに流れてこない、事前情報がないけれども良い本」は、あなたが自分の足で書店で見つけるしかありません。

そこが読書の面白さですし、いまの読者がとるべきスタンスではないでしょうか。

若い読者であれば SNS で本を知ることが当たり前になっているかもしれませんが、あなたの身の回りで起きている本の現れ方、本の知らせ方は一部にすぎません。
SNS タイムラインで知った本に夢中になることももちろん素晴らしいことです。しかし、それ以外にも素晴らしい本に出会い成長する方法はいくつもあります。いま、自分がどのようにして読みたい本に出会っているかを考えてみてください。

それはもしかしたら、本との出会いのほんの一部かもしれません。

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Ryuki Hayano

早野 龍輝 (Hayano Ryuki→はやのん)編集者&メディアディレクター。 2012年、新卒から書籍編集者となり、ビジネス書づくりをスタート。自己啓発や経営書を中心に、自分と同世代の読...

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