僕はフリーランス編集者として、いろんな企業と原稿のやりとりをしています。
これまで10以上のウェブメディアを立ち上げてきましたし、細かい仕事を含めると数十社とやりとりしたことになります。
会社が違うと仕事の進め方も違うのですが、そのなかでも差がでるのが、「ワード」「エクセル」「パワーポイント」というオフィス3大ソフトの使い方と、「チャットワーク」「スラック」などのグループウェアの使い方です。
そこでわかったのが、クライアント企業ごとに、どのソフトを使うかが全然違うということ。
たとえば同じIT系ベンチャーでも、意外とやり方が保守的だったり、逆に大手でも担当者によってはフランクだったりします。
さて、ウェブメディアを一緒に作る場合、やりとりするのは文章=テキストファイルと、写真の2種類しかありません。
その場合に使うのは、本来ならばワードと写真ソフト、共有ソフトだけで済むはずです。
ところが、
・エクセルで作業したがる人
・パワポで作業したがる人
が、それぞれ一定数います。
これが曲者です。今回はこのうち「エクセルで不必要に作業したがる人」の迷惑さとそのブロック方法について話します。
なぜ僕はエクセルを使わなくなったのか
以前はクライアント側のやり方に合わせていましたが、経験を積むにつれて、「余計なソフトは使わないでください」と最初に伝えるようになりました。向こうからすると普段の常識をフリーランス側から破壊されるので驚かれることが多いのですが、それでも強めに伝えています。
僕自身、独立してから最初はクライアントから言われるがままにエクセルを作っていました。
しかし、マックとウィンドウズでは表示の仕方が異なりますし、印刷しようとしてもうまくおさまらないときがあります。
相手のスマホに送りたくても向こうがうまく表示できないことも多々ありました。
次第に、「エクセル使う必要、本当にあるかな?」と疑問を抱くようになったのです。
そこから、「エクセルじゃなくてテキストベタ貼りでやってみよう」「むしろ、チャットで仕事するならテキストベタ貼りのほうがいいんじゃないか」と考えが変わるようになりました。
次第にエクセルを使う機会がほとんどなくなり、いまでは逆に「エクセルではなくテキストでお願いします」の一言を最初に伝えるようになりました。
仕事をより最小限にエッセンシャルにする
ウェブメディアでやりとりするテキストや画像は、できるだけシンプルに扱う必要があります。
なぜなら最終的にはウェブサイトの1つのページに格納され、一つのものとしてユーザーに見られるものだからです。
途中でつくったエクセルやパワポは、ユーザーの目に触れることはないのです。
つまり、「ユーザーが最終的に見ないものは、できるだけ作らずに進めるべき」という考え方です。
それを考えると、エクセルに変換している時間も無駄ですし、エクセルで原稿を提出するのもできるだけ断っています。
最初から完成形に近い状態でつくるべきです。
盲目的にエクセルを使っている人がいる
会社でエクセルばかり作っていると、社外の人間に対しても強要してしまうことがあるかもしれません。
エクセルは表計算ソフトですから、それ以外の目的に使うのは動作が遅く一覧性にかけます。できるだけ使わないでほしいのですが、会社で使っていると知らず知らずのうちになんでもエクセルで書きたがるくせがついている人がいます。
スケジュールごときで、エクセルはいらない
たとえば、制作スケジュールをわざわざエクセルで組みたがる人がいますが、一覧性にかけます。
社内同士でやるぶんにはフォーマットを揃えたいのでしょうが、外部のフリーランスとやりとりする場合は、フォーマットが揃っていることより「直感的であること」が何より優先です。
フリーランスにスケジュールを確認するときには、わざわざデータ量の重いエクセルをメールアドレスに添付して送るやり方ではスピードが遅くなります。
ウェブメディアはスピードが命なので、できるだけ「すぐに送れてすぐに確認できる」形式が望ましいのです。
特に、ウェブメディアや書籍の場合は、スケジュールといっても「企画」「制作」「入稿」の3段階しかないのですから、エクセルでわけるよりも文字で箇条書きにするだけで大抵のことはすみます。
箇条書きで
「3月10日 企画提出(担当:〜〜)
4月10日 制作(担当:〜〜)
5月10日 入稿(担当:〜〜)」
とすればいいだけなのです。
僕が箇条書きを進める理由は、その直感性です。
いまどき、実際にはサーバーメールではなく、フェイスブックメッセンジャーやLINEでほとんどのやりとりを完結させています。
そこで用いられるのは、個別の添付ファイルよりもベタ張りしたテキストです。
上記のスケジュール一覧くらいであれば、そのままコピペして貼ればすぐに見ることができます。1テンポです。
これをわざわざエクセルにすると、「エクセルを整える」「保存する」「添付する」「相手が開く」「確認する」の5段階かかるわけですから、テンポダウンです。
つまり、添付ファイルにしないほうが、仕事のスピードは何倍にもなるのです。
特にウェブや書籍の制作現場では、数日のスケジュールのずれは起こりうるため、変更しやすいことも大切です。
上記であれば数日修正したものを再度チャットに貼り付けて「こちらに変更で、いいですか?」と聞くだけで相手も確認できます。
プレーンテキストで済むところはプレーンで、チャットにベタ張りできるものはベタ張りで、が早い仕事の鉄則です。
文章が多少長くても、かまいません。
エクセルにするよりも、まずは一覧性です。
チャットを検索する際に検索しやすいように、ベタ貼りしたものにタイトルをつけるだけで、どれほど作業がスピードアップするか考えてみてほしいです。
エクセルを使った方がいい場合は少ない
もちろん仕事ごとにエクセルを使う必要のある人もいるかもしれませんが、果たしてすべてエクセルである必要があるでしょうか。
エクセルが必要なのは、全体のプロジェクト管理表くらいではないでしょうか。つまり、主体が何人もいて、それぞれの行動内容をお互いが知る必要があり、それが時間が経つごとに進行していくたぐいのものです。
その場合は表でないと一覧できないため、エクセルを使ったほうがいいでしょう。
しかしこれはレアケース。
本当にそのエクセルは役に立っているか冷静に考えてみるべきです。
仕事の一覧性を高めることの大切さ
僕が大切にしたいのは、テキストベタ貼りによって、仕事の直感性、一覧性を高めることです。
たくさんのプロジェクトを同時進行していると、「あれってどこまで進んでいたっけ」「あのスケジュールを出先で今確認したいな」と思った時にすぐ検索でき、確かめられることが必要です。
出先でエクセルがうまく開けずイライラ・・・なんてしていたら、仕事のテンポは悪くなりストレスが溜まる一方です。
いっぽう、テキストベタ貼りでイライラすることはほとんどありません。
多少チャットの文字数が多くなりますが、いずれにせよ流れていくものですし、あとから検索するときには文字量が多いほうが検索にひっかかりやすいのですから、得することのほうが多いのではないでしょうか。
くれぐれもチャットで「今後のスケジュールをエクセルにしておいたので、見ておいてください」などという間接的で非効率的な連絡をしないようにしてください。「チャットを送るなら、その内容をそのまま送れ!」と怒ってもいいかもしれません。(実際にそんなメールが来たらこう返信してしまうかもしれません)
とにかく、「無駄」なエクセルを使わないで仕事の直感性を高めましょう。