今いる会社で活躍できないと感じたら、整理してみる
仕事に慣れてくると、自分の会社以外の様々な環境を知る機会があります。
打ち合わせで他社のオフィスに入ったり、セミナーや交流会に参加して、他社の社員の人の話を聞いてみたり。また、ビジネス書を読んでその著者の会社や業界に興味を持ったりすることもあるでしょう。
他の環境を知ることはメリットがたくさんありますが、一方で目移りしてしまうということも起こります。
・自分が新卒で入った会社は実はあまり良い会社ではないのではないか。
・自分がもっと活躍できるような環境があるのではないか。
・もし他の会社に移るならば、そのタイミングは今ではないだろうか。
社会人2〜3年目になると、誰しもこんなことを一度考えるのではないでしょうか。
新入社員のうちは、自分の成長が早すぎて、会社の成長スピードを追い抜いてしまったような感覚に陥ることがあります。
向上心が高いからこそ、他の環境でも自分を試したくなってくるのは自然なことです。
もし今いる会社であなたが活躍できないと感じたら、次のようなことを一度立ち止まって考えてみてほしいと思います。
要因1 能力が十分に生かせているか?
まずは仕事内容や量についての不満です。
「自分の能力が、現在の仕事で十分に生かせていない」と感じるとき、人はもどかしさを感じます。
例えば上司から与えられた仕事は楽らくとこなしてしまう。
会議でも積極的に発言し、先輩社員に誰も思いつかないようなことを発言できる。
その日の仕事は終業時間までかからずとも終えてしまい、暇を持て余している。
仕事が楽なのはいいけれども、若いうちから仕事の体力が余ってしまうと、自分が成長できていないような感覚に陥ります。
「もっとハードな環境で、自分の能力ギリギリまで試してみたい」
こうした欲求が抑えられなくなった時、人は次の環境を求めるのだと思います。
この場合、 よりハードな環境に身を置くために転職や部署異動を検討するのもよいでしょう。
しかしながら、今いる場所でも、能力をさらに伸ばす方法はたくさんあります。
例えば今までやってきた仕事をさらに量を増やして、自分がどこまで出来るか試してみる。
圧倒的に量をこなすことで新しい発見がありますし、ひとつひとつの質も上がります。
効率化する手段が発見できれば、それを社員全員が使える形にして共有してみる。
さらに質をあげ、ノウハウとして社外の人にも共有できるレベルになれば、そのノウハウをもとに文章を書くこともできるようになります。
数年後にはビジネス書の著者になることも夢ではありません。
単純に量が足りないのであれば、量を2倍にして質も2倍にする、そしてアウトプットできる形まで高めるという解決策もあります。
僕自身の会社員時代の経験でいうならば、仕事の量としてカウントできるものが、「これから本を書いて欲しい人にオファーする」ことでした。
書籍依頼は必ずしもかけてくれるものではなく、断られることだってあります。
当然オファーをすればするほど、本を書くことを承諾してくれる人の数も増えます。
振り返ってみると、会社員時代の僕はオファーの数が圧倒的に少なく、それが本の企画の少なさに直結していました。
基本となる「量」が足りていないのですから、いくら自分の能力を活かせる機会を伺ったとしても、見つかるはずがありませんでした。
量を増やすことで、自分の能力を生かす機会が持てないか。
「自分の能力が、現在の仕事で十分に生かせていない」と感じるときに考えてみてほしい1つめのポイントです。
「自分には違う仕事のほうが向いている気がする」
一方で、自分の体力は尽くせているけれども、自分が本来得意な能力とはまったく別の能力が求められている場合。
自分の本当はもっと得意なことで、もっとたくさんの人に役立てるのではないだろうか。
このもどかしさは、今いる環境で頑張れば頑張るほど、耐えきれないものです。
本当営業の方が向いているはずなのに、管理業務をやらされる。
逆に、本当は事務仕事の方が向いているのに、新入社員だからといって営業の仕事を任される。
この場合は、自分の努力でどうこうできるのではありません。
速やかに上司やマネージャーに相談して、部署異動や配置転換をお願いするべきです。
違う仕事をやってみたいと感じたならば、できるだけ興味が向いているうちにその仕事を経験する身を置くべきです。
要因2 他の会社や環境、働き方に興味がある
ついては他の会社へ環境に単純に興味があるという場合です。
今の自分の仕事には不満はないけれど、キラキラしている ITベンチャーや、世界をまたにかけるようなグローバル企業に憧れることもあると思います。
一口に会社員と言っても、出勤時間や出勤形態、個人の裁量の範囲や報酬(給料)の決まり方、服装や言葉遣いまで様々です。
一番多いのが、日頃からかっちりした服装で9時〜5時の定時で働いている人が、社外のセミナーなどで ITベンチャーの人と交流した場合に、そのあまりのカルチャーの違いに驚いてしまうということです。
「出勤時間も服装も自由で、自分のデスクすら決まっていない会社があるのか!」
と感じて、自分の会社なんてお堅いんだろうと思ってしまうケースです。
たしかに表面的なところを見れば、自由な方が魅力的に思えることは自然です。
しかし自由なら自由なりに、欠点は存在します。
他の会社の表面的な部分ばかりに目が行きがちな所で、その裏側にある欠点まで同時に見ることができれば、誘惑されることは減ります。
「フレックスタイム制なんて良いなあ」
と思ったら、
「朝何時に出勤するかも自分で毎日決めなければいけないから、相当な自己管理が求められる。自分だったら結局朝寝坊して、仕事が終わらないかもしれない。それなら毎日決まった時間に全員でスタートした方が気が楽だ」
と考えてみましょう。
「服装が自由なんていいなあ」
と思ったら、
「毎日忙しい朝に服装を決めなければいけないのは、かえって煩雑だ。貴重な休みも服を用意する事で時間を食われてしまうかもしれない。服がダサいと社内でバカにされるかもしれない。何も考えずにスーツを毎日着たい」
と考えてみましょう。
「上下関係がないフランクな職場で、新入社員でも成果を出せば認められるっていいなあ」
と思ったら、
「後輩からもリスペクトされず、自分がやってきたことが実績としてあまり認められないのかもしれない。営業上手で派手な成果を出すやつばかりが社内で評価されて、地道に裏方を支えているやつが評価されないかもしれない」
と考えることができます。
これは極端な例ですが、どの会社にもそれぞれのルールとそれぞれの欠点があります。
なお僕自身はすべてを自分で決められるフリーランスという立場で2年間過ごしてきましたが、自由だからといって必ずしも良いわけではありません。そこには決断と責任が常につきまといますし、毎日朝起きて「今日は何をしようかなあ」と考えることから始まるわけです。いえ、そもそも「何時に起きるか」まで毎朝決めなくてはいけないのです。
がちがちに職場規則がきまった会社員から見て、僕のような在宅フリーランスは対極の存在でしょうが、僕の目線からでは「全てがガチガチに決まった職場もいいところはあるなあ」と感じることができます。
人間誰しも「隣の芝は青い」と感じることがあるわけですから、一時の感情に流されずにいたいものです。
とはいっても、違う環境で働いてみたいと感じることは常に現在を相対化するチャンスでもあります。
もし自分と全く違う働き方をしている人と話す機会があれば、その人がもっている不満も合わせて聞いてみてください。
そうすることで、単なるふわふわした憧れをシビアに判断できます。
その上でなお興味があるならば、違う環境に踏み出してみてもいいかもしれません。
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以上、今いる会社で活躍できないと感じたら最初に確認することをお話ししてきました。
いずれの場合も、社外の人と交流したうえで、良いところも悪いところも社外の人から吸収することが条件になります。
自分の働き方や仕事を相対化するには、違う環境の人と交流できる機会を持つことが大事です。
この人は自分とは違うからといって突っぱねるのではなく、そうした人と関係を持つことが自分をよりよい環境に保つために必要です。
少し業界が違ったり年齢が違ったりしても、違う環境の人と出会い会話することができる環境を大切にしてほしいと思います。