自炊とは、セルフスキャンのこと
本をできるだけたくさん読んで保存しておきたいというとき、どうしても制約になるのが自宅の本の保管スペース。
入社してすぐ借りた小さな単身用アパートであれば、大きな本棚は置けないですし、物件に収納スペースもないでしょう。
仮にほどほどの大きさの本棚があったとしても、たくさんの本を読んで買ったりもらったりしていたら、ほどなくしていっぱいになってしまいます。
他の記事でもお伝えしましたが、若手ビジネスマンのうちはできるだけたくさんの本を読んで、読んだそばからどんどん処分していくことが必要です。
ただしどうしても残しておきたい本があると思いますから、それは残しておいていいと思います。
そのどちらでもないものとして、
「近いうちにもしかしたらちょっとだけ使う可能性があるかもしれないけど、部屋に置いておくほどではない」
「いまはいらないけれど、できれば必要な時にすぐ取り出せるようにしておきたい」
という本が出てくると思います。ビジネス書というよりは学術書などになると思います。
またはビジネスの基本的な知識についてまとめられた辞典などでしょうか。
スペースをとらないためには電子書籍を買っておくのが一番早いのですが、学術書はほとんどの場合、電子書籍化されていません。
そのため買った本を自分でスキャンし、保存しておくという作業が必要になります。
こうしたセルフスキャン作業を俗語で「自炊」といいますが、「自炊」をすることでデータにしておくことで、保存スペースを必要とせず、必要な時に取り出せるようになります。
スキャンスナップとは
こうした自炊のアイテムとして定番となっているのが、富士通から発売されている家庭用スキャンマシンの「ScanSnap」シリーズです。
代表モデルのIX500は2012年の発売からすでに5年が経過し、僕自身が購入してからも4年が経過していますが、アップデートを繰り返しながらいまだに活躍しています。
当時も5万円弱で買ったのですが、さきほど値段を見てみたら4万円程度で、ほとんど値下がりしておりません。これは驚きです。
これほど支持を得ているのは、家庭用のスキャナーとしては品質が高く、また家庭用スキャンのニーズが高いからではないでしょうか。
IX500は、本の自炊専用の機械というわけではありません。
僕の持っているIX500であれば、A4以下の書類であればなんでもスキャンできます。
そのため名刺や契約書、レシートや領収書などをスキャン可能です。 誰しも十分に活用機会があります。
実際にスキャンスナップで本をキンドルに取り込む方法
もしあなたがビジネス書などをスキャンして保存しておきたい場合、どのような作業フローが発生するかを簡単にご説明しておきます。
1 本の背表紙を溶かして裁断する
2 スキャンスナップにセットする
3 PDFにする
4 電子書籍リーダーやiPadに転送する
まず本の背表紙を溶かして裁断する段階について。
本をスキャンスナップにセットする場合、本のページ一枚一枚が切れている状態にしなければいけません。
そのためには裁断機と呼ばれる、大きなカッターがついた専用の機械を買う必要があります。
これで本の内側をカットするのですが、家庭用のものだとうまく切れないことがあります。その場合には、本の背表紙についている「ノリ」を溶かして、本をバラバラにしてからカットする2段階の工程になります。 本の背表紙についている「ノリ」は、アイロンを押し当てることで溶かせます。
その後裁断機でスキャンしやすいサイズにしたら、ScanSnapの設定をしてスキャン開始です。
1冊分スキャンしたらパソコンにPDFファイルで保存できます。
保存したファイルをKindle電子書籍端末やiPadに送ることで、スキャン完了です。
2018年時点の自炊のメリットとは?
いらない本をスキャンしておきたいと思ったら、ScanSnapを買うのが早いのかもしれません。
ただし、安くても4万円はするので、出費は覚悟しなければいけません。
また買ったからといってどんなものでもらくらくスキャンできるというわけではなく、本の場合は書籍を裁断して一枚一枚スキャンするという作業が発生します。
かつてこのスキャン作業だけをおこなう専門業者が登場したぐらい、意外と時間がかかる煩雑な作業です(違法だったため廃業したようですが) 。
ここで注意点。 なんでも本をスキャンができるからといって、あなたが持っているすべての本をスキャンするかどうかは、冷静に考えなくてはいけません。
僕自身もスキャンスナップを買ってすぐは、嬉しくなって家中の本を裁断してスキャンしていました。
しかし、その後を振り返ってみると、スキャンしただけで一度も開かなかったファイルがたくさんありました。
所詮は電子データなので、データを入れていたパソコンや、バックアップをとっていた外付けハードディスクが壊れてしまったら、何も残りません。 僕もハードディスクが壊れてすべて消えました。
読みもせず保存もできていないのですから、一冊一冊裁断してスキャンしていた膨大な時間は全くの無駄だったわけです。
僕に限らず、考えもせずにとりあえずスキャンしていると、結果的に無駄な時間を生みかねません。
スキャンすることが目的ではなく、本の内容を頭に入れることが目的なのですから、無駄なことをせずに本を読んだ方が自分のためになります。
また、僕が社会人になりたての頃と比べ、2018年現在は電子書籍の環境も比較的整っています。
スキャンは最小限にして、読書の時間を増やしましょう。
なおスキャンしていた本のデータがHDDごと消えたことで感じたのですが、保存性でいうと電子データにするよりは紙の本を残しておいたほうが確実です。
電子データはもろいもので、ハードディスクやパソコンが壊れたり変更になっただけでアクセスできないことがあります。
同様にCD-ROMにバックアップしておいても、CDが傷ついて読み込めないこともあります。
電子データにして保存するといっても未来永劫保存するのではなく、1〜2年程度予備として一応残しておく、くらいの気持ちでいたほうがいいでしょう。